古い月面ローバが驚くほどのレーザー光を地球に返す


6月3日付、SCIENCE@NASAに「古い月面ローバが地球に驚くほどのレーザー光を返す」という記事が掲載されています。
記事中の写真上というのがルノホート1号を運んだルナ17号の写真。周りにルノホートが走りまわった轍がついてるのが分かります。ルノホートの写真は記事下写真説明のところの[More]をクリックすると出てきます。
記事によると今までアポロで3つ、ルノホート2号で4つの反射鏡が月面に設置されたがいずれも10年ほどであまり光を返して来なくなってしまったのですが、ルノホート1号は未だに強い反射光を返してくるらしく、その理由はまだよくわかっていないようです。以下概訳です。


>—–

ルノホート1号

40年間、月のホコリまみれの平原に放置されたソビエトのロボットが再び発見され、驚愕のレーザの閃光を地球に返してきた。
「私たちがルノホート1号が居る地点をレーザで照らしてみたところ、反射光の強さに驚きました。」とカルフォルニアサンディアゴ校のTom Murphy氏は言う。彼は古いロボットを再起動させるチームを率いている。「ルノホート1号は私たちに大きくはっきりとした声を返してきたのです。」
忘れ去られているかもしれないが、アポロ時代の宇宙開発競争では、ルノホート1号は昔のソビエトの月探査プログラムでの輝かしい成功の1つだった。1970 年にタイム誌はそのロボットの歴史的な着陸を以下のように記事に残している。
「月面着陸3時間後、最新の無人月探査機ルナ17号に搭載されたルノホート1号(通称:ムーンウオーカー)は母船から伸ばされた傾斜路の上をゆっくりと動き出した。こうして地球以外の天体へのロボットによる大いなる一歩が記録されたのだ。」

ルナ17号の反射光

遠隔操作によりローバーは11ヵ月に渡って7マイル月面を移動し、多く高解像度の月のパノラマ写真を地球に送信した。また500箇所に渡って月の砂のサン プルを採取し分析を行った。
その後ルノホート1号の消息は途絶えたがNASAの月偵察衛星が再び発見した。その発見については先月のNASAのプ レスリリースでも発表されている。
4月22日、Nurphyらはニューメキシコのアパッチポイントの天文台の3.5mの望遠鏡を使ってレーザーパル スを月面に照射し、月偵察衛星による同期観測を行った。ルノホート1号の反射板がレーザバルスを捉え地球に綺麗な信号として送り返してきた。
「私たちは最初のレーザでルノホート1号から2000フォトンの反射光を得ました。40年もの沈黙の後ですから、このローバはきっとたくさん言いたいことがあったの でしょう。」とMurphyは言う。
1960年代後半から1970年代前半にかけて、アポロの宇宙飛行士はその他の反射鏡を月の軌道を測定するた めに月面に設置してきた。1973年にルノホート2号による4つの反射鏡、ルノホート1号による2つ、アポロによって3つの反射鏡が設置されて未だに科学 実験に用いられている。

マクドナルド天文台

テキサス大を引退したEric Silverberg氏は、マクドナルト天文台で1969年から1982年まで月面レーザ測距を担当していた。「その時は」彼は言う。「私たちはアポロの 3つの反射鏡とルノホート2号の反射鏡全てを使って測距に成功していました。私たちは最初の月面ローバによる測距も試みましたが、1970年の12月31 日 に1回成功だけ方向を確認(特定には失敗)しただけでした。私たちはローバの位置情報についてのデータが無くアポロプログラムの方を追いかけるのに忙しくルノホート1号への興味は失われて行ったのです。」
「私がTom Murphy氏が失われたローバ1号からの反射光を発見したと聞いたときにはとても驚き同時に興奮しました。」とSilberberg氏は言う。
Murphy が発見した最初の反射光は疑問だらけのものだった。「その信号はとても強かったので、最初は計測器の故障かと思いました!私はローバからの反射光は今までの年月で弱く細くなっていると思っていたので、そんなことは起きるはずがないと思いました。でもそれだったのです。」
Silverberg氏は続ける。「ルノホート1号の反射光がその双子の兄弟よりも強いのは謎です。それは何故全ての反射鏡が設置後10年以内にその反射光が弱くなったのかという謎の理由を知る手がかりになるかもしれません。」
ルノホート1号の反射光は、レーザ測距研究に初めて脚光を浴びさせる契機となる可能性も秘めている。
現在レーザ測距はアインシュタインの重力理論を検証するために使わていて「何か糸口が見つかるかもしれない。」とMurphyは言う。

反射鏡

私たちの望遠鏡は地球から月へレーザーパルスを照射しま した。そこにはコーナキューブリフレクタがあるので、パルスが正確に照射した所に戻ってきます。そしてできるだけ多くの戻ってきた光子を集めるのです。」
そ の往復時間で月と地球の距離がわかる。それを1ヵ月や数年に渡って繰り返し観測することで、月の軌道をミリメートルの正確さで特定出来るのだ。
ア インシュタインの重力理論(一般相対性理論)では太陽などの巨大な質量体の大きなエネルギーや質量は空間を曲げるとされているので、この曲がり具合が巨大 な質量体の周りを回る天体から計測出来るはずである。
時空の変形部分を通過した際の月の軌道のブレを計測することで、アパッチポイント天文台の月 レーザー測距観測によって、アインシュタインの偉大な資産である相対性理論の証明をそのうち見つけるかもしれない。
つまり、月のレーザ測距はアイ ンシュタインの理論を支えているのだ。昔のローバが再び光った、いやレーザを反射したという話題は興味深いが、そのような重要な問題にも光があたったのだ。
>—–
写真上:LROからのルナ17号の写真。ルノホート1号の軌跡がランダーを取り巻いている。[More]
写真中:マクドナルト天文台 から照射される月へのレーザ測距[More]
写真下:全ての方向から来た光を正確に元の方向へ返すコーナーキューブ型のリフレクタ[More]

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA