地球磁場は月面の宇宙飛行士に危険?


4月17日付けAstrobiology Magazineに「地球磁場は月面の宇宙飛行士に危険?」という記事が掲載されています。
以前「月面着陸は嘘だった」という説がはやった時、月にいけなかった理由のひとつに「月へ向かう途中の地球磁場を通り抜ける際に生命の危険があるから」という説がありました。実際、地球磁場を通り抜ける必要があるのですが、その時間は短く、生命に危険を及ぼすようなレベルではありません(参考:月探査情報ステーション:月の雑学)。この記事では、地球磁場を通りぬける際のダメージについてではなく、地球磁場が月面に与える影響について書かれています。月が地球磁場に入ると月面が電気的にチャージされ、静電気に弱い電子機器にダメージを与えたり、チャージされた月ダストが浮遊し宇宙服に付着し、シール部分に入り込んだりする可能性があるとのことです。以下概略訳の引用です。

月軌道と地球磁場との重なり

月に4日間に相当する時間、月軌道が地球地磁気と重なっており、そのため、月面は静電気的にチャージされる。先週、イギリスのラザフォード・アップルトン研究所のMike・Hapgood博士が、プリンストンで行われた王立天文学会の国際会議で、2012年以降このチャージのパワーが増加し、将来の月探査の問題になるかもしれないと指摘した。
地球を回る月軌道は、必ず一度、地球の夜の側に太陽と反対方向に数百万キロメートルの長さに伸びる地球磁気圏尾と重なる。磁気圏尾の中央には、高電子と他のチャージされた粒子が多いプラズマシートと言われる部分がある。
月がプラズマシートを横切る際、これらの高電子が月表面の一部に集まると、その部分が静電気的にチャージされる。1998年のルナ・プロスペクターによる観察でも、この現象が確認されている。

月面のチャージ強弱グラフ

Hapgood博士の計算によれば、プラズマシートよる月面のチャージは、月の軌道変化を原因とする18年の周期がある。アポロが着陸した1970年の初期および現在は極少期で、1990年は極大期、そして2012年から再び極大期に向かう。2020年を目標に、アメリカ、ロシア、インド、日本、中国が月面有人探査を計画しているが、ちょうどその頃極大期になると予想されている。
月表面のチャージは、電気的に弱い電子機器への放電の危険性が増すため、将来の月探査にとっては重要な問題である。また、月ダストの状態にも影響し、宇宙服の稼動部部への侵入などが重大な危険を及ぼすと考えられている。
Hapgood博士曰く、「電気的なチャージングは宇宙飛行においてほとんど知られていない危険性です。月にどの様な影響を与えるか理解することは、宇宙船設計者たちに将来の宇宙飛行士たちを守る知識を与えるためにも重要です。」との事。
写真上:月(小さい白い点)が地球磁気圏尾(青い円)を2007年のクリスマス(時間は左上)付近で横切る様子。視線は地球から太陽方向の逆。月は右から左に横切り、時々プラズマシート(赤)と接触する。月との距離は地球の直径(Re)の倍数。(Astrobiology Magazine中の同じ画像クリックでアニメへリンク:Credit: Dr. Mike Hapgood/Rutherford Appleton Laboratory)
写真下:1960年から2030年までのプラズマシートによるチャージの予想グラフ。赤線は月ごとのチャージを表す(6月と11月に極大)。青線は平均値で18年周期になっていることがわかる。(Credit: Dr. Mike Hapgood/Rutherford Appleton Laboratory)

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