巨大な太陽面爆発発生!その時月面は大丈夫?


2005年1月24日付けScience@NASAに太陽面爆発が月面に与える影響について書かれています。
2005年の1月20日、太陽に巨大な黒点群が発生たしそうです。その黒点群は「NOAA720」と名づけられたとのこと。。巨大な黒点からは大量のプラズマが放出(コロナ質量放出)され、地球に様々な影響を与えます。今回も爆発が起きた36時間後にはヨーロッパ各地でオーロラが発生したそうです。地球にいれば大気と磁気圏がコロナ質量放出から守ってくれますが、月には防いでくれる大気も磁気圏がありません。月に達した太陽風粒子は直接月の表面に降り注ぎます。
記事によると、今回もし月面に宇宙飛行士がいたらおよそ50remの被爆量になったそうです。被爆量が300remを超えると死の危険があるそうなので、結構な被爆量です。被爆の危険を避けるためには遮蔽材の厚さが重要で、記事によると、今までの宇宙船の遮蔽財の厚さは、
 アポロ宇宙船:11g/立方センチ
 スペースシャトル:10~11g/立方センチ
 ISS(国際宇宙ステーション):最も暑い部分で15g/立方センチ
 とのこと。詳しくは以下を。


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月面基地想像図

NASAは月に帰ろうとしている。ロボットではなくて人間でだ。数十年の間に私たちは月面に、居住区、温室、発電所などをみることができるだろう。宇宙飛行士たちは月ダストの中で調査、精製、建築などをおこなう。
しかし先週は、そこに人間がいなかったことを喜ぶべきかも知れない。
よかった。
2005年1月20日、NOAA 720と名づけられた太陽黒点活動が始まった。それはX線を発生し、最も強いときには、数十億トンのブラズマ(コロナ質量噴出)を宇宙空間に撒き散らす。爆発によって加速された太陽からの陽子は地球ー月系に数分で達し数日間にわたって「磁気嵐」を発生させる。
地球にいれば心配ない。私たちの星の薄い大気と実験は私たちを陽子やたの太陽からの噴出物から守ってくれる。実際、その嵐も良く守ってくれた。コロナ質量噴出が発生した36時間後には地球の磁気圏に達し、ヨーロッパではオーロラが発生した。
月ではまったく別の話になる。
「月では太陽フレアーにさらされてしまっています。」マーシャル宇宙センターの太陽物理学者David Hathaway氏は言う。「そこには遮蔽してくれる大気も磁場もありません」月に達した陽子はそのまま月面に、もちろん月面上を動いている全ての物にも降り注ぐのである。
1月20日に1989年以来最大の磁気嵐が発生した。それは1億ボルト以上のエネルギーを持つ陽子を発生させた。そのようは陽子は厚さ11cmの水を通り抜ける。薄い宇宙服はあまり役に立たない。

巨大な太陽黒点(とその前を横切る飛行機)オランダのアマチュア天文家Jan Koeman氏が撮影

「宇宙飛行士がその時外を歩いていたら大変なことになっただろう」NASA、ジョンソンスペースセンターの生体放射線学者Francis Cucinotta氏は言う。最初、かれは心地よい気分するが、だが数日後放射線障害の症状・・・吐き気、疲労、白血球の減少などが現れるだろう。それらの症状は数日間持続する。
ISSの宇宙飛行士たちは大丈夫だった。ISSは充分な遮蔽材があり、またISSの軌道は地球磁気圏の中である。「多分被爆量は1rem以下だろう」
1remはちょっとしたレントゲン程度で、X線1レントゲンが人間の組織を傷つけるのと同じくらいの被爆量になる。ちょうど癌の検査のCTスキャンが、およそ1remの被爆量である。そのためISSの乗組員たちは、1月20日の磁気嵐では地球に帰って診察を受けた時より少ない被爆量であった。

太陽観測探査機(SOHO)撮影による磁気嵐。太陽からの陽子がデジタルカメラに衝突し無数のスパークが発生(画像:NASA)

月では、Cucinotta氏の計算によると、宇宙服以外何も防御をしていない宇宙飛行士でおよそ50remの被爆になる。これは放射線障害を引き起こすに充分の量である。「だが、それは致命傷にはならない」彼は付け加えた。
致死に至るには、一度に300remかそれ以上の被爆が必要なのだ。
重要なのは「一度に」ということだ。数日間での類型が300remであってもそれほど影響しない。体が細胞を修復する時間があるからである。だが300remが一度にきたら・・・「私たちは、医療が完備していない環境であれば60日以内に50%の人間が死に至ると考えている」Cucinotta氏は言う。
そのような大量の太陽フレアは可能なのだろうか。手がかりは1972年の磁気嵐にある。
その磁気嵐は(NASでは)とても有名だ。なぜならその時は、アポロ月探査が行われており、宇宙飛行士たちは月へ向かったり月面活動をしていたのだ。4月にはアポロ16号のクルーたちが月から帰還し、11月には17号が月面に着陸している。でも宇宙飛行士たちの健康には問題はなかった。
「1972年の8月2日の最も大きな黒点が発生し、10日間にわたって何回も爆発しました。」Hathaway氏は言う。その時は大きな爆発が発生し「私たちが経験したことないほど大量の磁気嵐が発生しました。」Cucinotta氏は付け加える。研究者たちはそれ以来、磁気嵐についての研究を続けているのだ。
Cucinotta氏の計算では、1972年の磁気嵐の時、月面を歩いていた宇宙飛行士たちは400remを被爆していた。では致死量に至ったのか?「必ずしもそうではない」と彼は言う。すぐに地球機戻り治療をしたおかげで宇宙飛行士の安全が保たれたと言う。

1972年の磁気嵐。科学者たちが「タツノオトシゴ」と呼んでいるフレア。

確かに、巨大な黒点活動が起きているときに月面を歩き回った宇宙飛行士はいない。もしそのような時に月面にいた場合は「おそらく宇宙船内かまたは居住地内にとどまることになるでしょう」Cucinotta氏はいう。アポロ司令船ははアルミでできており、放射能が人間の造血器官まで達したころには35rem程度になると考えられている。これは骨髄移植と、たとえば頭痛薬ほどもの違いがある。
現在の宇宙船はさらに安全である。「私たちは宇宙船遮蔽材の面積密度を計算しています。」Cucinotta氏は言う。より大きな数字、外皮が厚いほうがより安全になる。
アポロの外皮は11g/cm2程度だった。
今のスペースシャトルでは10~11g/cm2である。
ISSの外皮は、最も遮蔽が聞いている部分で15g/cm2である。
将来的な月面基地でポリエチレンとアルミからなる20g/cm2の遮蔽材になる予定である。
一方、一般的な宇宙服は0.25g/cm2程度で、遮蔽能力はあまりない。「磁気嵐が発生したら船内にいるしかありません」Cucinotta氏は言う。
だが探検者たちは、月面はそんな環境でも出かけていくことだろう。一番の予防策は、地球での探検家が天気に関心を持つように、宇宙天気予報に気をつけることである。大きな太陽黒点が発生していないかどうか?磁気嵐はどうか?コロナ質力爆発は起きていないか?
全てOKなら、さあ出発だ。
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画像①:月面基地想像図(画像:NASA)
画像②:巨大な太陽黒点(とその前を横切る飛行機)オランダのアマチュア天文家Jan Koeman氏が撮影
画像③:太陽観測探査機(SOHO)撮影による磁気嵐。太陽からの陽子がデジタルカメラに衝突し無数のスパークが発生(画像:NASA)
画像④:1972年の磁気嵐。科学者たちが「タツノオトシゴ」と呼んでいるフレア。(画像:NASA)

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