月を知ることは地球を知ること


久々の更新です。その間にもかぐや・SELENEの観測終了そして月面への衝突、アメリカの月偵察衛星LROの打ち上げ成功、アポロ着陸40周年などなど月に関する話題には事欠かなくなってきました。興味深い記事も多いので時間を見つけて概訳を作成する予定です。
7月17日付けScience@NASAに「月を知ることは地球を知ること」という記事が掲載されています。この記事、月を目指したアポロが写した地球の写真がその後の人類の歴史にどれだけ貢献したかという、いわゆるSciencとはちょっと違った観点から書かれた内容になってます。アポロと同じように、かぐや・SELENEでも、ハイビジョンで撮られた地球の出の写真は、いわゆるScienceの成果とは違いますが、多くの人々に様々な思いを呼び起こしたことと思います。以下概訳です。


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40年前、アポロ宇宙飛行士たちが月探査という壮大な冒険に出発した。彼らは最後には地球について知ることになった。
どうして地球について知ることになったのだろう。・・・地球を離れているのに?・・・それはある一枚の写真から始まったのだ。

この写真から始まった

Apollo8号はサターンV型ロケットによって打ち上げられ最初に有人月周回を行った宇宙船である。ミッションの目的はその後のミッションのために月面の着陸地点の写真を取ってくることだった。アポロ8号の前までは月の裏側の写真はロボットでしか撮影されたことが無かった。
宇宙飛行士達が搭乗した宇宙船が月の裏から出てくる時のことだった。彼らは地球が月の地平線から浮かび上がる「地球の出」の壮大な光景に驚きそして魅了されたのだ。宇宙飛行士のBill Andersはすばやく宇宙船内からその地球の出の写真を撮影した。それはミッション予定には書かれていない行動だった。
タイミングは最高だった。ちょうどクリスマスイブで、アメリカや世界の歴史を混乱させていた嵐の終わりが近づいていた。その写真は「故郷」についての新しいイメージを人類に与えてくれたのだ。
それは人類にとっては、地球をジグゾーパズルのように国境を引かれた平らな地図としてみるのではなく、何も無い宇宙に浮かぶ光り輝く脆い球体として認識させてくれた歴史上初めての出来事であった。
後年、自然写真家Galen Rowellはこの写真を指してこういっている。「今まで撮られたなかで一番美しい写真だ。」
「その写真は人類全体の方向性を変えたのです。」とNASAのヘッドクオーターのKristen Erickson氏は言う。「そしてアポロ11号から17号で地球の写真が撮られることで、この地球を最初に写した写真が与えた衝撃は確信へと変わっていったのです。」

地球観測衛星一覧

アポロが写した大きな青い地球の写真は草の根的な環境保護運動を呼び起こし、天気予報や、オゾンホールの監視、気候変動の調査などに使われる一連の地球観測衛星に結びついたのだ。Andersが写した1枚の写真と同じように、それらの地球観測衛星は私達が地球と呼ぶこの星についての認識を日々新たにさせてくれている。
私達はこれらすべてを月探査から得ているともいえるのだ。
アポロ宇宙飛行士たちは、彼らの特権として、宇宙の特別な場所から地球をじっと眺めることができた結果、大きく心を動かされた者が多い。
「私の人生は変わりました。」とアポロ9号の宇宙飛行士Rusty Schweickart氏は言う。
「・・・そこには自然の境界しかありません。・・・人が作った境界は何もないのです。」アポロ10号と17号の宇宙飛行士Eugene Cernanは言う。「それは今まで私が受けた中でもっとも深遠で感動的な経験でした。」
アポロ17号は最後の有人月探査ミッションだった。それ以降、人類は誰も地球全体を宇宙空間から見ることができる場所まで行っていないのだ。国際宇宙ステーションの乗組員達は美しい地球を見ることができるが、決して地球全体を見ることはできない。なぜなら宇宙ステーションは地球低軌道を回っているので、一度に見えるのは地球の一部分だけなのだ。視野の広さでは月にはかなわないのだ。
もうすぐ私達はそこに戻る。今、月偵察衛星(LRO)がNASAの科学者達が新しい有人月探査を開始するのに必要な正確なデータを集めるために月の周りを回っている。NASAは再び途方も無い計画を行おうとしているのだ。今度は月で生活するために。

アポロ17号で撮影さされた月

月に戻らなければいけない理由としてはいろいろある。スペースシャトルのパイロットJoseph Allenは私達の惑星もその理由の1つになっていると考えている。
「月に行くことに対しての賛否両論の議論のなかで、誰も私達がそこで地球を見るべきだと提案していない。だがもしかするとそれが一番重要な事かもしれない。」
NASAの公聴会でも、元宇宙飛行士のCharles F. Bolden Jrがこういっている。「私はいつの日かアメリカ人すべてが宇宙に行き荘厳で雄大な私達の母なる星を見る日が来ることを夢見ている。」
そんな日が来るまでは、私達の代わりに何人かの宇宙飛行士が、アポロの時よりも何千倍も進化したカメラをもって宇宙に行くことだろう。
彼らが見せてくるれるものは私達の意識をさらに拡大させてくれるにちがいない。いままで常にそうだったように。
写真中:アポロから40年後、私達の母なる星を調査する一連の衛星群。Image credit:NASA
写真下:大きな青い地球。これは最後のアポロで地球全体地球全体を撮った写真の中の一枚。アポロ17号のクルーが撮影。Image credit:NASA

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