月ロケット用パラシュートの実験成功


11月15日付けSCIECNS@NASAに「月ロケット用パラシュートの実験成功」という記事が出ています。有人月探査機のアレスⅠのロケットブースターはパラシュートで回収して再利用する予定ですのでそのパラシュートシステムのテストに関する記事です。アレスⅠのブースターはシャトルのブースターより重くなるためテストが必要とこと。詳しくは以下の概訳を。


月へ向かうペイロードを打ち上げた後の200,000ポンド(約91トン)もあるロケットブースターを安全に地球に戻すにはどうしたらよいだろうか?
NASAでは今後10年間の間に月に戻る準備をしており、新しいアレス月ロケットには再使用型のブースターが用いられる予定である。この重たいブースターが壊れないように充分に優しく着水させなければならない。

アレスブースターパラシュートテスト

今日、NASAではアレスⅠ有人ロケットブースター回収のため設計された巨大なパラシュートのテストに成功した。直径150フィート(約45m)のパラシュートのテストは大成功に終わった。赤と青のストライプのパラシュートは16,500フィート(約5000m)上空から地表に(どちらかというと)ふわりとその巨大な荷物をアリゾナ州ユマの大地へと降ろしたのだ。
「42,000ポンド(約20トン)の重りを付けてC-17輸送機後尾から落としました。自由落下時間も含め全て事前の計画通りの結果を得ました。」とNASAマーシャル宇宙センターのJames Burnum氏はいう。
11月15日のテストは9月25日に成功したテストを受けて行われたものだった。これらのテストではパラシュートのペイロードは200,000ポンドより少ない。しかしエンジニア達はテスト結果からパラシュートの落下範囲と設計の妥当性を確認した。
NASAでは既にパラシュートの運用に充分な実績がある。パラシュートによる回収システムはシャトルの固体ロケットブースターを回収し修理して再利用する際に使われており、エンジニア達は同じシステムをアレスのブースター回収に使う予定である。アレスのブースターはより重くシャトルの固体ロケットブースターより落下速度が速くなるのでパラシュートにはより強靭な材料が使われている。
「アレス用パラシュートはケプラーで作られていて、シャトル用パラシュートはナイロン製です。」と同じくマーシャル宇宙センターのRon King氏は言う。「ケプラーはナイロンよりも強いのでパラシュートは大きくてもナイロン製と同じサイズに畳むことができ軽くなります。したがってこの回収システムはシャトルと同じものが使えるわけです。」
同じ設計が使えるのは今回のテストの成功理由の1つだが、ここでパラシュート自体の歴史を見てみよう。

Andrew Garnerinのが行った最初のパラシュートテストの様子

レオナルド・ダビンチがパラシュートのアイデアを書き残したのはおよそ500年前。それから100年度、Faust Vrancicがダビンチのススケッチをもとに固定枠のパラシュートを作った。Faust Vrancicはその危険な装備でベニスの塔から飛び降りテストをした。彼は何とか地面に無事に着地した。[参考]
1793年、Jean Pierre Blanchardが絹を使って最初の軟らかく折りたためるパラシュートを製作した。 そしてAndrew GarnerinがBlanchardのパラシュートを使って1797年に気球から飛び降りてテストを行ったのだ。
これより1世紀以上あとの1912年、Albert Berryが観客の前で飛行機からのパラシュートテストを行った。飛行機はセントルイス近郊からAlbert Berryを乗せて飛び立ち、彼は胴体フレームをすり抜けて飛行機から飛び降りた。テストは完璧だったが、彼は「あまり気分のよいものではない」と認めた。なぜならパラシュートが開くまで500フィート(約150m)も落下していたからだ。[参考]
きっとRon King氏もNASAでの最初のテストの際には同じような気持ちだったに違いない。
「私達はサイズと重さにすこし心配していました。」とKing氏は言う。「私達はそのサイズでなにが起きるか確信が持てなかったのですが、無事に成功することができました。」
アレスⅠのパラシュートシステムは3つのタイプのパラシュートから構成されている。(1)減速用パラシュートを引っ張り出すための小型パラシュート、(2)ブースターを直立させ落下速度を下げるための直径68フィート(約20m)の減速用パラシュート、(3)ブースターをさらに減速させ着水させる3つのメインパラシュート、である。
パラシュートシステムのテストは2010年まで行われる。
「これらは私達が月に戻るためのアレス有人宇宙船のための最初のテストです。」とKing氏は言う。「つまりアレスの第1歩なのです。」
彼らは前の世紀のまさに最初の一歩を、自分の勇気と背負った証明されていないパラシュートがうまく働くという希望だけで大空へ飛び出した人々の最初の一歩を、思い浮かべている。
今のところ順調!さあ月へ!
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写真上:アレスパラシュート(写真:NASA)
写真下:Andrew Garnerinのが行った最初のパラシュートテストの様子。Etienne Chevalier de Lorimier作(グアッシュ及び水彩絵の具による)

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