月震


2006年3月15日付けScience@NASAに「月震」という記事が掲載されています。Moonquakeなので月震です。
 アポロで設置された地震計のデータから月には4つのタイプの地震があることがわかっているそうです。そのうち3つは発生原因もわかりエネルギーが大きくないのでそれほど問題ないのですが、最後のタイプ、浅いところで発生する地震については、発生原因がわからず、エネルギー適にもマグニチュード5以上になる時もあり注意が必要だと書かれています。
 最後は「月震を調べるために地震計ネットワークを設置できれば、火星やその他の惑星にもそのようなネットワークを設置する時に役立つ」と書かれています。月を火星以遠の有人探査のためのテストベットとして考えるというアメリカの新宇宙政策の考えに沿った結論を導いていますね。
 さて興味深かったのは「月が夜明けを迎えた際、最初の太陽光で地表面が暖められ膨張することによって発生する」というタイプの地震です。地球からの潮汐力や隕石の衝突を原因とする地震はなんとなく想像できたのですが、このような地震があるとは知りませんでした。どの位の震動が発生するのでしょう?夜明けの訪れを知らせてくれるみたいで何かSFネタにでもなりそうな気がします。
詳しくは以下を。


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 宇宙飛行士たちが再び月に戻る時、耐震性のある月面基地が必要かもしれない。
 その結論は、1970年代に計測されたアポロデータを再検討したノートルダム大学の土木および地盤工学のClive R. Neal助教授と彼らのチームにとっては驚きだった。「月には活発な地震活動がある。」彼は昨年10月にテキサスのLeague Cityで行われたNASANの月探査検討グループ(LEAG:Lunar Exploration Analysis Group)で発表した。

写真上:バス・オルドリンによって静かの海に設置される地震計

 1969年から1972年の間、アポロの宇宙飛行士は着陸地点に地震計を設置してきた。アポロ12、14、15、16号で設置された地震計は1977年に電源offされるまで地震計データを地球に送信している。
 その記録には少なくとも4つのタイプの地震が記録されていた。(1)おそらく潮汐力を原因とする、月面から700km以下で発生する深い地震、(2)隕石の衝突による震動、(3)2週間の月の夜の間に冷やされた地表に夜明けが訪れ最初に太陽光が差し込むことで発生する熱膨張を原因とする熱的な震動、(4) 地表から20~30km下で発生する浅い地震である。
 最初の3つは規模がそれほど大きくなく害は無い。浅い地震はかなり特殊だ。1972年から1977年の間に、アポロ地震計ネットワークはその地震を28回記録した。そのうち幾つかは「マグニチュード5.5以上を記録している。」とNeal氏は言う。地球でマグニチュード5といえば家具の転倒や壁の亀裂などが発生するくらいのエネルギーである。
 さらに浅い地震は特に長時間揺れ続ける。一度ゆれ始めると、大体10分以上続く。「月は鈴のように鳴っているのです。」Neal氏は言う。
 地球では、地震の震動は大体30秒程度で減衰してしまう。それは化学的風化作用と関係があるとNeal氏は言う。「水は岩石をもろくし、別の組成に変化させ膨張させます。そこに地震波が到達してもスポンジのように吸収してしまいます。」地球で最も大きい地震でも2分程度で震動が収まる。

アポロ16号での代表的な地震計記録(画像:NASA)

 しかし月は、乾燥し、硬く冷え固まった石や鉄でできている。したがって月震は音叉のように震動を続ける。たとえ月震が強くなくても「それはずっとずっと続く。」とNeal氏は言う。月面基地では、月震のマグニチュードよりその持続性の方が問題になるだろう。
 「月の居住施設は、空気漏れが広がっていかないように、ある程度フレキシブルな素材で作らなければならないでしょう。私たちは建築材料の疲労強度を知らなければいけません。」疲労強度とは繰り返しの曲げやねじりにどの位耐えられるかということだ。
 浅い地震はなぜ起こるのだろう?そしてどこで起こるのか?「まだそれは良くわかっていません。」と彼はいう。「アポロ地震計は月の表側の限られた範囲にしか設置されておらず、浅い地震が起きる場所を特定できないのです。」彼らはもしかすると大きくて若いクレータのリム部分では震動が減衰するかもしれないと考えている。
「特に月の極のでの情報が足りません。」とNealは続ける。例えば月の南極のシャクルトンクレータのリム部分は永久日照域があると思われるており、月面基地の有力候補地点のひとつになっているからだ。
 そしてそれは始まりに過ぎない。他の惑星にも地震がある。「月は火星やその他の惑星へ地震ネットワークを作る際の技術試験場所として使えるのです。」
写真上:バス・オルドリンによって静かの海に設置される地震計(画像:NASA)
写真下:アポロ16号での代表的な地震計記録(画像:NASA)

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