月面での爆発~月は静寂な世界と思っていないか?


2005年12月23日付けSCIENCE@NASAに「月面での爆発~月は静寂な世界と思っていないか?」という記事が掲載されています。
月に衝突する隕石の話です。この記事はAstoroArtsのHPにも掲載されています。
記事によると月面基地などに隕石が衝突する確率は低そうですが、舞い上がったダストの方が問題のようです。以下概訳です。


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月面での爆発~月は静寂な世界と思っていないか?
NASAの科学者が月面での爆発を観測した。その爆発は、TNT火薬70kgに相当する規模で、雨の海近くで2005年11月7日に直径12cmの隕石が時速27kmで衝突して発生した。

赤い点が2005年11月7に観測された隕石衝突地点

「驚きました。」マーシャル宇宙飛行センターMSFCの研究者Rob Suggs氏は言う。彼はその爆発の閃光を観測した。彼と彼の共同研究者Wes Swift氏は月への隕石の衝突を計測する新しい望遠鏡とビデオカメラをテストしていた。ちょうど最初の日に、「私たちはそれを撮影したのです。」とSuggsは言う。
 月に衝突した物体は「たぶんおうし座流星群だと思う」MSFCの流星の専門家Bill Cooke氏は言う。つまり10月下旬から11月初めにかけて地球に流星雨を降らせる流星群の一部ではないかというのだ。
 月にも同時に流星雨が発生しているはずだが、地球と違い月には隕石を捕まえそれを燃やし、ただ一筋の光を残すだけにする大気が無い。したがって月では、流星は月面に激突し、そして爆発する。
 Suggs氏はいう。「私たちが見た光は、7等級の星程度の明るさでした。」それは人が肉眼で見ることが出来る一番小さい星の2.5倍程度の大きさしかなかったが、直径10インチの場有縁今日では容易に観測することが出来た。
 Cooke氏はその流星の衝突で「直径3メートル、深さ0.4メートル」のクレータが出来たと推測している。月のクレータとしてはとても小さい。「ハップル望遠鏡を使ったとしても見ることは出来ません」とCook氏は補足した。月は384,400キロ離れている。この距離では、ハップル望遠鏡で識別できる大きさは60m程度になってしまう。
 月面に衝突する流星が観測されたのはこれが初めてではない。1999年と2001年のしし座流星群の時には、アマチュアとプロの天文観測者が7~3等星に相当する少なくとも半ダースの閃光が観測されたと証言している。爆発のうちの多くは世界中の観測者によって撮影されている。

11月7日に撮影された爆発:撮影

2001年のしし座流星群以来、天文学者は月の隕石にあまり時間を割かなくなった。「それははやっていないのです。」Suggs氏は言う。だがNASAは2018年までに月に戻る計画を立てており、再び脚光を浴びる日も近いかもしれない。
 月への隕石の衝突については多くの疑問が寄せられている。「どのくらいの大きさの隕石が一番多く衝突しているのか?これはしし座流星群やおうし座流星群の時だけなのか?それとも一年を通して散発的に隕石の衝突が発生しているのか?」
 「例えば宇宙飛行士が月で大きな隕石衝突に巻き込まれる可能性はほとんどありません」Cook氏はいう。しかしその確率は良くわかっていない。「なぜなら私たちは今までその確率を計算できるだけの充分なデータが得られる観測が出来ていないからです。」と彼は説明している。月面上の宇宙飛行士に隕石が衝突する確率はさらに低いが、月全体の調査が行われればさらに詳しいことがわかるだろう。

隕石衝突の想像図

Suggsがそれより問題と考えているのが、「二次的隕石」である。隕石が衝突した際の「しぶき」がどれだけ遠くまで飛散するか誰も知らないのだ。
 また衝突の際にはダストが大量に舞い上がる。月のダストは帯電し執拗にまとわり付く。たとえ少しのダストでもかなり厄介だ。それは宇宙服のつなぎ目に入り込み、フェースプレートに張り付き、月を歩いてきた人が入ってくると室内ににおいをもたらす。隕石の衝突によって月の砂嵐が起きるかどうか?それは今後の課題だ。
 
 Suggs氏と彼のチームはより大規模な観測計画を立てている。私たちは大規模な流星群の時期だけでなく、長期間の観測計画を立てています。そのためには月面で発生する閃光を自動的に観測するソフトが必要です。」彼は続ける。「瞬間的な閃光を見つけるために4時間ビデオを見続けるのは非常に大変なのです。」これはコンピュータの仕事だろう。
 
 いろいろな改善がなされれば、彼の装置はより多くの月の隕石を見つけることになるだろう。Suggs氏は言う。「そこにはきっと驚きの真実があるでしょう。」
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写真上:赤い点が2005年11月7に観測された隕石衝突地点(Credit: NASA/MSFC/Bill Cooke.)
写真中:11月7日に撮影された爆発:撮影:(Credit: Wes Swift/NASA.)
写真中:隕石衝突の想像図:(Credit: NASA/MSFC.)

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