月面を走破する


宇宙生命科学に関する話題を取り扱うNASAのAstrobiologyに9月26日付で「月面を走破する」という記事が掲載されています。内容は、カーネギーメロン大学が中心となって開発されている月面ローバモデルについてです。
今までも月面ローバモデルは様々な機関で開発されていますが、このローバは、原子力電池を搭載し永久影を1ヶ月間走破でき、さらに車体の中心に掘削装置を持つという特徴があるようです。地盤を掘削する際には、特に月面の場合はその反力をどこから取るかということが問題になるのですが、このローバ、掘削時には車高を低くさせ地面に車体を密着させることで反力を得ることを考えているようです。そのため大きさもかなり大きめ。重さも250kg程度あるようです。理学的に意味があるまでの深さの掘削をするにはこの程度の重量がいるのかもしれません。このローバの名前は「スカラベ」だそうです。以下概訳です。

カーネギーメロン大学が開発中の月面ローバ「スカラベ」

カーネギーメロン大学院コンピューターサイエンス学科で岩の多い斜面を這い登り自身をアンカーとして地球外での掘削を行うロボットが開発された。
このロボットは”スカラベ”と呼ばれている。まだ宇宙仕様ではないが月面で燃料、水や酸素を生産するための月面掘削の技術実証が目的である。そのような技術は有人月探査が再開する場合には非常に重要な技術となるはずだ。
スカラベは数メートルの地下のコアサンプル得ることができるカナダ製のドリルを装備し、ロッカーアームサスペションによってドリル稼動の際の反力を取るために車体を月面に埋め込むことができるようになっている。
「この月面ローバは温度が華氏マイナス385度にもなり利用できるエネルギーが全く無い月の南極の永久影地域でも行動できるように設計されています。」とプロジェクトの実験主任のWilliam “Red” Whittaker氏は言う。「そこでは人間は効率的に活動できませんが、スカラベなら100ワットの電球程度のエネルギーで迅速に活動できます。」
ロボットによる月面探査ではしばしば矛盾する問題に直面する。スカラベは岩がごろごろした砂地盤を数マイルにわたって機敏に動かなければならない反面、地盤を掘削するための安定したプラットホームを提供しなければいけない。永久影の中で1ヶ月間行動するためには、太陽電池やバッテリーでは難しい。それらの代わりに放射線同位体電池を搭載する予定である。また、スカラベは暗闇の中を走破するため新しい低エネルギーのレーザセンサーを装備している。
「エネルギーが限られているため、それほどスピードは出ません。」スカラベの特任准教授David Wettergreen氏は言う。最大速度は4インチ/秒(10.16cm/s:時速0.3km)で、巨大な障害物や掘削作業の前にはエネルギーを節約するために停止することも考えられている。
走行効率の観点から考えれば、スカラベはなるべく軽いほうが良い。しかし掘削作業を考えるとドリルに下方向の力を与えドリルの回転反力を取るためには重くなければならない。研究者達は掘削作業のためには少なくとも250kgの質量が必要であると考えた。
そのため掘削時にはサスペンションによって5.5×3フィート(約167×91cm)の車体を地面に押し付けることができる。「デザイン面での革新はドリルをアームの先端ではなく車体の中央に設置したことです。」とWettergreen氏は言う。「スカラベは車体重量の全てを掘削作業に生かすことができるのです。」
またサスペンションはスカラベの車体を地面から21インチ(約53cm)持ち上げることができ、岩を乗り越え急な斜面を登ることができるようになっている。
「それは2つの昨日をうまく組み合わせたビークルといえるでしょう。」とクリーブランドのグレンリサーチセンターのプロジェクトマネージャーのJohn Caruso氏は言う。「スカラベはシンプルなデザインで暗闇での走行性と掘削作業性を両立したマシンなのです。」
ドリルはカナダ、オンタリオ州、サドベリーのNorthern Centre For Advanced Technology社で製作中で、地質調査に必要なコアサンプルの採取が可能になる予定である。NASAのエイムズリサーチセンターの研究者はカーネギーメロン大学と共同でレーザーで障害物を探査しその分布を解析するアルゴリズムと装置の開発を行っている。
フィールドテストは今年の終わりに行われる予定。テストでは暗闇の中での走行性と地盤掘削能力が確認される予定だ。
写真:スカラベは、岩石が露出し月ダストが舞う月面を自在に動けるように設計されている。また地球の1/6の重力環境でも掘削作業が可能な安定したプラットホームを提供できる。Credit: Carnegie Mellon University

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