月面オリンピック~月で冬季オリンピックが開催される日


2006年2月8日付けScience@NASAに「月面オリンピック~月で冬季オリンピックが開催される日」という記事が掲載されています。
トリノオリンピックに合わせて、月でオリンピックをやったらという特集記事を掲載していく企画記事の第一弾です。
第一弾はそのイントロダクション的な記事です。月での開催地はプラトン(プルトー)クレータがいいそうです。詳しくは以下を。


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月面オリンピック~月で冬季オリンピックが開催される日

雨の海との境界にある月のアルプス。Olympic Villageと書かれてるところがプラトンクレータ。(写真:NASA)

 月を覆っているダストはスキーをするのにもってこいの場所だ。そこには大量の粉体があり、そしてなによりも低重力だ。1/6G環境では長く空中にいられ、スキーヤーやスノーボーダーは地球では夢の中でしか出来ないような技、8回転ひねりや4回転後方宙返りなどが出来るのだ。それにゆっくり落下するので着地で怪我する心配はいらない。
 そしてオリンピック会場にとっておきの場所がある。プラトンクレータだ。知らない人も多いだろうが、古代ギリシャの哲学者プラトンは、古代オリンピックのチャンピオンだった。彼はパンクラチオン(Pankration)といわれるボクシングとレスリングを混ぜたような格闘競技で2度優勝している。そのプラトンの名前が付いたクレータはまさにオリンピック選手が滞在するのに適した場所だろう。プラトンクレータには平らな底があり、スタジアムや宿泊施設を建設する材料があり、今冬季オリンピックが行われているイタリアのトリノのように、アルプスに近い。
 ただし月のアルプスだが。
 月のアルプスはヨーロッパアルプスにちなんで名づけられた。そこは地球のアルプスと同じように絶景が広がっている。近代オリンピックが始まった当初は、冬のオリンピックの多くはアルプスで行われていた。やはり月でもそうするべきだろう。
月のアルプスは簡単な望遠鏡でも見ることができる。特に今週は観察には適している期間になる。日没後、望遠鏡で月を見てみよう。オリンピック会場候補地のプラトンクレーターは雨の海の北側にあり暗い楕円形をしている。雨の海は肉眼でもはっきり見えるだろう。
 次に、望遠鏡をプラトンクレータに向けてみよう。アルプスはそこから始まっている。雨の海の縁にそってプラトンクレータから望遠鏡を動かしていくとアルペン谷の絶景やそびえ立つモンブランが見える。ニューヨーク、バッファローのアマチュア天文家Alan Friedman氏が10インチの望遠鏡で撮影した写真を掲載しておこう。

Alan Friedman氏が撮影したプラトンクレータから月アルプス。(写真:NASA)

 地球のアルプスは何百万年もかけて大きくなった。プレートテクトニクスによって、地殻同士が押し合い締め付けあって険しい山脈を作りだしたのだ。そのアルプスはフランスからイタリアと通りアルバニアまで続いている。アルプスで一番高いのはモンブランで15,700フィート、4800mの高さがある。
 
 月のアルプスはおよそ40億年前の隕石大衝突の際に出来た。その衝突で雨の海が、その名前と反して、海ではなく巨大なクレータとして形成された。アルプスはその際の飛沫の名残なのだ。
 
 形成当時は月のアルプスも地球のアルプスと同じように険しい地形をしていた。しかしその後長い時間、月には絶え間なく隕石が衝突し、頂上の険しい岩山はダストになったり角が取れたりしている。今では月のアルプスは地球のアルプスよりも少し低くなり(月のモンブランは11800フィート、3600m)地球よりなだらかだ。まさにオリンピックにはうってつけだ。
 今後数週間の間、Science@NASAでは低重力でのオリンピックとして記事を掲載していく予定。8回転ひねりは出来るか?スノーボーダーは月でもうまく滑れるか?どうしてボブスレーは宇宙船みたいな形なのかなど。オリンピックを見ながら答えを考えてみてほしい。
 
 それではゲーム開始だ!
写真上:雨の海との境界にある月のアルプス。Olympic Villageと書かれてるところがプラトンクレータ。(写真:NASA)
写真下:Alan Friedman氏が撮影したプラトンクレータから月アルプス。(写真:NASA)

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