燃料電池で月の夜を照らす


NASAの月および火星探査HPに「燃料電池で月の夜を照らす」という記事が掲載されています。
月の夜間のエネルギー確保として再生型燃料電池システムを開発しようという内容です。
月の夜間は約2週間。この期間のエネルギー源として例えば充電地を使おうとすればそれだけで莫大な質量の充電池を月に運ばなければならなくなります。供給する電力が増加すればするほどその質量は増大します。そこで再生型燃料電池システムが必要になってくるわけです。再生型燃料電池システムでは日中に水を水素と酸素に電気分解し、夜間にその分解した水素と酸素を使って発電します。
詳しくは以下の概訳を。


人家の全く無い、水も風もそして数週間の間は太陽の光さえ射さない山の中で生き残っていくことはできるだろうか?
このような辺境に挑戦する者のためではないが、NASAはこの問題に対して、月に人を送る前に解答を作っておかなければならない。

月面用再生型燃料電池システム想像図

次の12年の間に有人月探査が行われるだろう。今私達は月面環境の中で科学研究を行うことができる恒久的な月面基地建設について研究している。そして月で培ったその技術は火星または他の惑星への有人ミッションへも生かされるだろう。
日中は、太陽電池が居住施設、生命維持システム、ローバ、通信システム、その他の設備に電力を供給するが、月の夜は334時間も続く。特に月の南極では、太陽は高く昇らないため、山や丘が月面に太陽光線が届く前にさえぎっていしまう。
ケープカナベラルのNASAのグレンリサーチセンターでは長期間の凍てつく月の夜のためのエネルギー供給システムの研究を行っている。そのシステムにはおそらく高高度太陽電池航空機用に開発された再使用可能な燃料電池システムが使われるだろう。
2005年、電気工学者のDavid Bents氏とグレンリサーチセンターの彼のチームは世界初そして唯一の閉循環再使用型燃料電池の実証試験を行った。航空機には搭載されなかったがグレンリサーチセンターのエンジニア達はその試験から月面で使用する次世代の再使用型燃料電池システムに必要な様々な情報を収集した。
●再生型燃料電池システムの仕組み:
一般的な水素を用いる燃料電池ではタンクに貯蔵されている水素と大気に含まれる酸素を用いて発電し、その副産物として水のみを生成する。再使用型燃料電池はその逆の過程も可能で、電気を用いて水を水素と酸素に分解し、分離した水素と酸素を使って再び発電することができる。
「私たちの再使用型燃料電池システムの最大の特徴は完全な閉循環システムであることです。」Bents氏は言う。「このシステムからは電力と廃熱以外は何も出てきませんし何も出て行かないのです。水素と酸素で水を精製し後繰り返しそれを利用するだけです。」
言い換えれば、一般的な燃料電池では大気中の酸素を使う代わりに。閉循システムでは水を分解した酸素を使うことになる。すなわち酸素の無い月面では理想的なシステムと言える。
「月では、まずはタンクの中の水を分解することからはじめます。日中に太陽電池から電気を得て水を水素と酸素に分解しておき、太陽が沈んだ夜の間は分解した水素と酸素を使って電気を作り出します。」とBents氏は言う。「計算上は、何も消費せず、何も補給せず永久に動き続けることができるはずです。」
●今後の計画:
2005年の夏、グレンリサーチセンターでは世界初の完全な閉循環再使用型燃料電池の実証試験を行った。この試験では5日間の間日中および夜の状態のシステム実証が行われた。永遠には程遠い期間だったが、何もリークが無いこと及び少なくとももう1サイクルの運転が可能な状態であることが示された。

グレンリサーチセンターの再生型燃料電池スタック

5日間の運用は数年間の研究の賜物だった。チームは再使用型燃料電池システムが宇宙でのエネルギー貯蔵システムとして使うことができるだけの能力を持っていることを証明したのである。
2005年からの実証試験ではより信頼できるシステムとするために、運用ソフト、電気回路およびハードウエアの改善を行っている。
この試験で彼らが得た教訓及び情報はグレンリサーチセンターエネルギー貯蔵プロジェクトがより厳しい月面環境において使用できるシステムを作る際に欠かすことができないものとなるだろう。
「航空機用に作られたのにも関わらず、そのシステムは私達にとても役立っています。」とグレンリサーチセンターのAdvanced Capabilities プロジェクト長Ann Over氏は言う。「私達がそのシステムから得た知識はきっと月面用再使用型燃料電池システムの開発に生かされるでしょう。」
グレンリサーチセンターは2008年から月面用再利用型燃料電池システムのプロトタイプ製作を行う予定である。
写真上:月面用再生型燃料電池システム想像図(Credit: NASA)
写真下:グレンリサーチセンターの再生型燃料電池スタック(Credit: NASA)

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