真夏の夜の月の錯視


昨日の満月を見て、「地平線近くの月は大きく見える」という話がSCIENCE@NASAに掲載されていたのを思い出しました。2005年6月20日付けSCIENCSE@NASA「真夏の夜の月の錯視」です。原題は「Summer Moon Illusion 」。
記事には、「日没の少し前に月出があり、その時出来るだけ満月に近い月であれば月の錯視は起こる」と書いてありますので、きっと「今日の月はなんだか大きいなあ」と思った経験が、皆さんも今までに何回かはあるのではないでしょうか?
もう1つ、月が大きく見えるという話であれば、よく聞くのは「子供のときに見た月は大きかった」という話です。確かに今のところ月は地球から徐々に遠ざかっているので、子供のときに比べれば、小さくなっているのでしょうが、遠ざかっているスピードは月の大きさから見ると微々たるものですから、それで月が小さく見えるわけはありません。まあ月が小さくなったのではなく自分が大きくなったからでしょう。
それと似たような話で「子供のときはもっと時間がゆっくり進んだのに」というのもありますね。確かに子供の時は、楽しみにしていた夕方のアニメが始まるまでの時間が長かったこと長かったこと。
そんな話とも相まって、「大きな月」っていうのは、なんだか懐かしさをもたらしてくれますね。夏休みにカブトムシを取りに行ったときの大きな月の風景とか。そういえばETを乗せた自転車が空に飛び上がったときもバックの月は大きかったですね。
こっちのほうがまさしく「Moon Illusion」かもしれません。


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夏の月の錯視-ここ18年で最も低く上る月が、今週あなたを惑わせる。
時々自分の目が信じられないときがあるだろう。今週はまさにその時だ。
夕方の日没時に出てあたりを見回してみる。とっても大きな月が東の空に上がっているのが見えるだろう。それは、丸くてクレータが沢山ある地球の月だ。もう人類は月面に立ったことがあり、おなじみの月だ。しかし何かがおかしい。月は妙に膨らんでいる。そうだ!とてもでかいんだ!
その時あなたは「月の錯視(Moon Illusion)を経験しているのだ。

月の錯視

今週の満月は1987年以来、低い空に上がるので、月の錯視がとても強く出るだろう。
なぜそんなに月が低く昇るのだろう。それは夏だからだ。太陽と月は空の反対側にある。太陽が高く上るということは、満月は低く上がる事になる。今週の6/22-6/21の夏至からすぐ-の満月は、月の錯視が起こるのに絶好の条件がそろっている。
あなたが月を見た時、月の光はあなたの目には約0.15mmの像となって写っている。高く上った月と低く昇った月は同じ大きさの像を結ぶ。それでもどうしてあなたの脳は低くのぼった月の方が小さいと思うのだろう。昔から言われてきた問題だが、科学者たちはまだその答えを見つけられないでいる。
同じような錯覚が1913年にマリオ=ポンゾによって発見されている。彼は鉄道の線路を絵に書いたときのような一つの点に集まる2本の直線上に同じ2つの横棒を書いた(写真中参考)。すると上の横棒のほうが大きく見える。これを「ポンゾ錯視」という。

ポンゾ錯視例

研究者の中には月の錯視は、木や家などがポンゾの線と同じ役割を果たし、ポンゾ錯視と同じ現象であると主張している。前のほうにある物体があなたの脳を混乱させ、月が本当の大きさより大きいと思わせるのだ。
しかしそこには問題がある。高高度を飛行している飛行機のパイロットも、何も比較するものがないのに、月の錯視を経験している。これも目の錯覚なのだろうか?
おそらくそれは空の形が原因である。人間は空を、天頂が近くて水平線が遠い屋根の平らな大きなドームのように認識している。それが原因だ。たとえば頭上を飛ぶ鳥は水平線上を飛ぶとりより近く感じる。月が水平線近くににあったら、あなたの脳は、鳥を見て慣れているように、月までの本当の距離と大きさの間違い計算をしているのだ。

月の錯視用「平らな空」モデル

まだ他にも説明がある。あまり良くない説明かもしれないが、あなたが大きくてきれいな月を見たいなら、一番良いのは月が地平線から出てきたときで、そのときは月は木々や家の間、または山の端から見えるときで、それが錯覚を一番起こしやすい環境なのだ。。
楽しい実験が1つある。月を直接見たらそれから何かを通して月を見てみることだ。たとえば親指と人差し指で輪を作ってみたり厚紙で筒を作ってみたりしてだ。すると周りの風景が消える。さあ錯覚は消えただろうか?
ストップ!そこでやめておいたほうがいい。月の錯視を見逃したくはないだろう?
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写真上:シアトルに上がる月の連続写真。カメラを通してだと、どこの位置でも月は同じ大きさ。カメラだと見えないが目だと見える。それが錯覚。(Credit and copyright: Shay Stephens)
写真中:ポンゾ錯視例(credit: Dr. Tony Phillips)
写真下:月の錯視用「平らな空」モデル。(画像:NASA)

人はなぜ錯視にだまされるのか?
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人はなぜ錯視にだまされるのか?
北岡明佳
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