科学の未来へのドリリング


火星での掘削実験のために南極にアースブレーカーというドリルを持ち込み、さらにそれを遠隔操作でカルフォルニアの小学生たちが操作するという、とても羨ましい実験の模様が、IceBite Blogとして数回に分けて掲載されていました。そのまとめ的な内容の記事が、宇宙生物学の話題を取り扱うNASAのAstrobiologyに 12月6日付で「科学の未来へのドリリング」という記事として掲載されています。
遠隔操作をする貴重な体験をしたのはRobert Palassou先生の受け持つ5年生のクラスの生徒達だったようです。NASAには先生たちをNASAの科学者達と一緒に現場で実験に参加させるSpaceward Boundというプログラムがあるそうで、このPalasssou先生はそこで今回のような実験に参加する機会を得たとのこと。概訳は以下。


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写真1

Valley View小学校のRobert Palassou先生が受け持つ5年生のクラスで、先月NASAのエイムズリサーチセンターの科学者がカルフォルニアのプレザンプトンの彼らの所へ訪れ一風変わった授業が行われた。その授業とは南極で行われているドリルのテストに遠隔操作で参加するというものだった。
そのドリルは、アイスブレーカーとして知られており、火星の極地域での将来のミッションで使うことを目的に作られているプロトタイプである。それはHoneybee Robotics社で氷または永久凍土を1m掘削し科学分析用に地下のサンプルを回収するように設計製造されたものだ。南極でのフィールドテストは、NASAのASTEP(Astrobiology Science and Technology for Exploring Planets)計画の予算で運営されているIceBiteプロジェクトにとって重要な要素の一つであった。

写真2

今年のフィールドテストの目標は南極のユニバーシティバレイでドリルのテストを行うことだった。IceBiteの主任研究者Chris McKayは、彼が「乾いた永久凍土」と呼ぶ2008年にNASAのフェニックス探査機が着陸した火星の北極に似た地域だったため、ドリルテストを実施する場所としてユニバーシティバレイを選んだのだ。Astrobiology Magazineでは後日ユニバーシティバレイからのIceBiteチームのレポートを掲載する予定にしている。
IceBiteチームは、南極の研究施設ではブロードバンドによるインターネットを含めた快 適な生活を送るための多くの物が提供されているのに、別の重要なテストをまず行うことにした。遠隔操作である。素直に考えるとアイスブレー カを地球上で動かす限りは遠隔操作は必要無いはずだが、ドリルが遠隔操作できるか確かめておくことは将来の火星のロボットによる掘削ミッションにとってとても重要である。したがってそのテストでIceBiteチームはミッションコントロール室の代わりとしてRobert Palassou先生の5年生のクラスを選んだのだ。
IceBiteのエンジニア、McKay氏とArwen Davé氏が南極から2つのインターネット回線をセットした。一つは、Macによる普通のSkype回線でチームと生徒達との会話や生徒がドリルを見たりその音を聞いたりするのに使われる。もう一つは、PCによるもので、ドリル操作用ソフトウエアが入っているものだ。
数十人の生徒が順番で一連のコマンドを送信した。Start:ドリル回転開始、Seek:先端のビットが地表と接するまでドリルを下降、Drill:掘削開始、Retract:ドリルを表面まで引き上げて氷と土のサンプル改修、という具合だ。

写真3

アイスブレーカーは回転衝撃式のドリルで、回転すると同時に、ターゲットにハンマーで叩いたような衝撃を与える。操作が進んでいくと、生徒たちはSkype による接続を通じてドリルによる掘削が進展し遠く離れた凍った大地を叩くガタガタという音が聞こえるようになる。掘削中は、南極に居るIceBiteのメ ンバーが生徒と会話し、彼らが操作しているそのはるか末端で何が起こっているかを詳しく伝えていた。
IceBIteチームから見ると、テストは大成功で、ドリルが集めたサンプルはカルフォルニアで分析するために、NASAのエイムズとプレザンプトンの教室に送られる予定である。
Palassou先生にとっても実験は大成功で生徒も同じ気持ちであった。「彼らは最高に興奮していました。めまいがするほどでしたよ。」と先生は言う。
生徒も同様のようだ。

写真4

生徒の一人、Noah Averyによると、「火星についてと火星で科学者が何をしてるかとても楽しく理解することが出来た。」とのこと。
ドリルを操作した生徒の一人のArnel Ilicは、「操作するのはとても楽しかった。。。ボタンを押して送ったコマンド通りに装置が作動するのは本当にすごかったよ」と言う。
Lauren Dennen、「NASAに入りたいと思ったよ。なぜなら科学者っていうものがあんなに楽しいとは知らなかったから。新しい機器を設計してそれで探査してみたい。自分のアイデアで作った探査機器がどこかに着陸してそこで活躍するなんて考えただけでも楽しいよ。」と感激していた。
Palassou先生は、以前McKey氏と一緒に科学者と高校までの先生たちを共に現場での科学教育を体験させるSpaceward Boundプログラムに参加しており、子供たちにそのような実験を体験させてあげたいと熱心に話していた。テストが終わって私たちが外で話していると、子供たちの一団が駆けてきて、そのうちの一人がカマキリを手に持ってきた。彼らがカマキリを草むらに戻すのに苦労しているのを見て、Palassou先生は 「別の方法を試してみて」、「カマキリを傷つけないようにカマキリ自身が動いていくようにして。ゆっくりと時間をかけて。」とアドバイスした。
今回のような小学校に科学者を招くというまさにその提案者である彼は、この出来事がどうして今回のようにNASAを学校に呼んで生徒たちと一緒に実験をしようという気になったかという理由をよく表していると言った。なぜなら彼らはまだ「見て先生、カマキリだよ!」と言ってるのだから。
もしくは、Arnelが言ってた事ももちろんその理由の一つだ。「もし私がNASAで働く大人だったら、いくつかの実験を小学生にさせることを提案するんだけどなあ。だって大人には私たちがどんな時に何に興味があるか、何をしたいかなんて分からないんだから。」
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写真①:NASAの宇宙生物学者 Chris McKay氏と5年生を受け持つRob Palassou先生がSkypeで南極でドリルの遠隔操作を準備しているチームメンバーと話している。Credit: Henry Bortman
写真②:NASAのエンジニアArwen Davé氏がJosephine Pereiraにアイスブレーカの遠隔操作用ソフトウエアの使い方を教えている。その横にはドリルを操作する順番を待つ他生徒達。Credit: Henry Bortman
写真③:カルフォルニアのプレザンプトンの彼女の教室から、Nammi Sridharaがアイスブレーカードリルを操作するコマンドを、遠く離れた南極に送信する準備をしている。 Credit: Henry Bortman
写真④:Rob Palassou先生の5年生クラスの生徒たちがアイスブレーカードリルの操作法を説明するNASAの宇宙生物学者Chris McKay氏に質問しようと待ち構えている。 Credit: Henry Bortman

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