GRAILと失われたもう一つの月のミステリー


2011年9月7日付けSCIENCE@NASAに「GRAILと失われたもう一つの月のミステリー」という記事が掲載されています。
月は火星ほどの大きさの天体が原始地球に衝突して生まれたという「巨大衝突説」は有名ですが、そのとき実はラグランジュ点に2つ目の月が形成され、その後2つの月がゆっくりと衝突して現在の月になったという説が検討されているとのことです。
そのときの2つの月の衝突速度は非常にゆっくりだったため、この説は「巨大”ビシャッ”説:Big Splat」と言われているようです。ドーンという衝突では無かったため、2つの月が衝突したその裏側はしぶきを上げるように地形が形成され、現在でも月の謎の1つである月の表と裏の二面性(月の表は海と言われる平坦な部分が多く逆に裏は高地や山脈などの険しい地形で覆われていること)を説明できるとのことです。
スケールがでかい話でなかなかおもしろいです。9月8日に打ち上げられる予定のGRAILの精密な月重力場探査によってこれらの謎の解明が進むかもしれないとのこと。以下概訳です。


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Big Splat

9月8日に、NASAのGRALIミッションが月内部構造の解明を目指して打ち上げられる予定である。月面上の灰色のクレータの下には、おそらく大昔に忘れ去られた「仲間」の情報が隠されているはずだ。
ネイチャーの論文で発表されるよていなのだが、大昔には夜空に2つの月が輝いていたかもしれない。まだ証明されていない説だが、今、大きな注目を集めている。
「この説を用いれば」とMITのGRAIL実験主任代理のDavid Smith氏は言う。「それは月-地球系の謎の一つ、月の二面性を説明できるかもしれません。月の表と裏が全く違っているというやつです。」
月の表側、つまりいつも私たちに向いている側は、太古に固まった溶岩でできた海に覆われた平坦な地形に支配されている。これに反して、月の裏側は山脈と高地が大半を占める。研究者達はこの違いを解明しようと長い間努力してきたが、カルフォルニア大学サンタクルーズ校のMartin Jurzi氏とErik Asphaug氏らの最新の学説で、この「月の二面性」を説明することができる。
科学者達は火星ほどの大きさの物 体がおよそ4億年前に私たちの地球に衝突し、その際宇宙空間に飛び散った我々の地球と衝突した天体の破片が雲のように地球軌道を漂い、それらが合体して月 が形成されたという説には皆納得している。Jutzi氏とAsphaug氏らはこのときの破片の雲が2つの月を形成したと仮定した。そして、小さい方の月がまるで引き寄せられるように地球を周回する大きな月の方に落下していったという。
「通常、そのような2つの月が形成されたとしてもすぐに1つの月になるはずです。」とSmith氏は説明する。「ですが、2番目の月がラグランジュ点の1つで成長したと仮定しています。」
ラグランジュ点は一種の重力でできたウツボカズラである。そこに捕らわれた物体は長い間そこに止まるが、永遠ではない。2番目の月は最終的にはそこを出てより大きな姉に衝突した。この衝突はとてもゆっくりとしたスピードだったため、衝突ではクレータは発生せず、代わりに小さな月 は「しぶき」のような作用を起こして月の裏側の高地地域を形成したのだ。
つまり、月の高地地域は忘れられた月の記憶なのである。

GLAILミッション

「月の地場を計測することで、GRAILは月の内部を「見る」ことができ、月の表と裏の違いを明らかにすることでしょう。」
GRAILは数ヶ月に渡って2機で月を周回する。その間、マイクロ波測距システムでお互いの距離を極めて正確に計測する。2つの衛生が月上空を周回する際のその互いの距離が伸びたり縮んだりするのを計測することで、研究者隊は月の地下の重力場のマップを作ることができるのだ。
「これらの計測で月内部の物質についての多くの情報が得られ、月の表と裏の地殻とマントルの違いについての正確な情報を得ることができます。もし月の裏側の地 殻を形成する物質の密度が月の表側と何らかの法則を持って違っていたら、”2つの月説”の有力な証拠になることでしょう。
だがこの情報は「ジグゾーパズルの1つのピース」に過ぎない。月に妹がいたことを証明するためには、他のピースも必要だ。NASAの月偵察衛星はすでに月の 地形についての有力な情報を提供し始めている。科学者達はまた手がかりとしてアポロの際に得られた月の表面の化学組成に関する調査も参考にしている。
だが本当に必要なのは、Smith氏が言うには、月の裏側の岩石を測定するためのサンプルリターンミッションである。
「小さな月が、もし本当に存在していたなら、今の月の1/3ほどのサイズのはずです。なので衝突の際には速く冷えたはずで、月の裏側の岩石は、しぶきの跡と考えられている高地では、表側より古いはずなのです。」
いずれにせよ、きっと何か新しいことがわかるだろう。これからは、「月”達”へつれてって」、「輝け、三日月”達”」と歌わなくてはならなくなるかも。
でも、「まだ歌詞を変えなくても大丈夫です。」とSmith氏は言う。
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写真上:巨大”ビシャッ”説。月ともう一つの小さな月の衝突のシミュレーション。もう一つの月がビシャッと衝突し月の高地が多い地域を形成した。Credit: M. Jutzi and E. Asphaug, Nature.
写真下:NASAの双子衛星GRAILは月の重力場を正確に測定する。

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