IceBite Blog:遠隔操作


南極で火星用掘削機のアイスブレーカの試験の模様を伝えるIceBite Blogシリーズ、宇宙生物学の話題を取り扱うNASAのAstrobiologyに11月29日付で「IceBite Blog:遠隔操作」という記事が掲載されています。
どうやらカルフォルニアの小学校と衛星回線で結んで遠隔操作による掘削に成功し、また、1mの掘削にも成功したようです。以下概訳。


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写真1

11月18日木曜日、とても興奮した日だった。火星掘削用ドリルがカルフォルニアのプレザンプトンにあるVally View小学校の5年生達によって遠隔操作されたのだ。その日の朝、ドリルと通信システムのセットアップを行いカルフォルニアの時間で11時(こちらの時間で朝の8時)にすべての準備が整った。カルフォルニア時間が3時間進んでいるように見えるが、実際は21時間遅れているのだ!なぜなら私たちがいる地点は日付変更線のすぐ近くで、現地時間はカルフォルニアから21時間進んでいるわけだ。なので準備ができたのが木曜日だったがカルフォルニアではまだ水曜日だった。

写真2

11時ぴったりに、クラス担任のRober Palassou先生を呼出した。NASAのエイムスの実験主任のChris McKay氏と実験エンジニアのArwen Dave氏はすでに学校で、私たちの地球の隣人:火星についての講義を行なっていた。Skypeは順調だった。こちらからもあちらからも映像がよく見えたと思う。とても楽しい時間だった。まるで別の惑星から地球と通信しているようだった。やっぱり、南極は別の惑星のようだ!
アイスブレーカー(いつの日か火星の永久凍土または氷を掘削して解析用サンプルを回収するためにそう名付けられている)という火星掘削ドリル用のインターネット回線も準備していた。gotomypc.comを使ってオンラインでコンピュータを別のコンピュータから遠隔操作できる。なので、カルフォルニアの小学生達は私たちのコンピュータの画面を見てマウスを使っていろいろなドリルのパラメータの数値を入れることができる。その他にもいろいろな事が出来たのだ!それがわかる前に、とりあえずドリルのスイッチを入れて動かし始めた。子供たちはドリルに夢中で、ちょっとの時間も無駄にしたくないようだった!まずは地面を特定するプログラムを使った。ドリルは地面に接触するまでゆっくりと降りていった(私たちはいつもこのプログラムを火星探査ローバの岩石研磨装置(RAT)で岩を砕くときに使っている。いつもうまく動いている。)

写真3

そして次は掘削。カルフォルニアのオペレーターたちは新しいボタンを押してドリルが回転し始め同時に地面を叩くような衝撃負荷も開始された。この回転と衝撃を組み合わせた動きは、掘削をとても効率的にするので、ドリルはあまり熱を持たない。これは、氷を融かしたり気化させたりしたくないので、永久凍土を掘削する際にはとても重要なのだ。ドリルは最初はゆっくりとそしてその後スピードを増してあっという間に10cm掘削した。

写真4

そして次はクライマックス:サンプルの採集(つまるところ、掘削する目的はサンプルを採集することなのだ!)。またいくつかのボタンが押され、ドリルが上昇し、サンプルが小さな壜に投入された。ミッション達成だ!全員じゃなかったけど。南極にドリルで掘削させたい生徒が沢山いた。この作業は何回も繰り返された。ドリルが動いているのを見るのは楽しかった。こんなにうまくいくなら、朝飯を食べに行けば良かった(結局1日じゅう食事できなかった)。NASAのエイムスの科学者、Margrta Marinova氏は、ドリルの若いオペレータ達が後でじっくりと分析できるように、サンプル全てを集めて学校に送ることを約束していた。彼ら若いドリルオペレータ達の中の一人が、いつの日か本当に火星に置かれたドリルを操作することになるかもしれない!
次の日はまた別の大きなテストが待っていた。私たちの目標は硬い地面(実際に岩のように硬い)を1mまで掘削し、10cm毎にサンプルを採集することだった。このときは、インターネットに接続する必要は無かったのでマクマード基地から幾らか離れたところにドリルを設置した。ドリルは設計した通りに動き、10cm毎に地中の新しい物質を掻き出し、採集壜いっぱいのサンプルを得ることが出来た。この作業は1mのまで掘削するまで続けられた。

写真5

この時、パワーレベルはおよそ100W、なので明かりとほぼ同じだった。またドリルを地面に押し付ける力は20lbs以下であるこも確認した。なぜなら火星は重力が小さいためすべての重さが地球の1/3になるためだ。火星着陸機はドリルが地球に比べて相対的に軽いものと認識している。掘削の最中にドリルがランダーを持ち上げるようなことにはなって欲しくないのだ。そしてチャレンジとしてドリルを11度の斜面に設置した。なぜなら火星着陸船が水平な場所に降りるとは限らないからだ。
ドリルには温度計も付けられていた。氷が溶けることや一部が変質するのを避けるために、掘削の最中にドリルの温度が大きく上昇しないことを確かめたかったためだ。そしてなんとか夕食の時間までには作業を完了してコーヒーで暖まることが出来た。とうとうミッションは完了したのだった。
私たちは月曜日にはドライバレーの谷の一つにあるVally大へ向けて旅立つ予定だ。私たちの最終目標は(マクマード基地とは違った特徴を持つ)氷で固まった地面または純粋な氷を掘削することだ。それがいつになるかとても楽しみだ。以前火星の温度は華氏マイナス25度より低いという話をした。私たちのドリルはきっとそこでもうまく動くと信じている。また私が会えるかわからないが、その時また会おう!
写真1:カルフォルニアのプレザンプトンのValley View小学校の若いドリルオペレータ達。中央にいるのがNASAのChris McKayとArwen Dave氏。担任のRobert Palassou氏は右側にいる。:Credit Henry Bortman
写真2:アイスブレーカードリルはマクマードで遠隔操作される。Alfoso Davila(NASAのエイムズ)、Fale Paulsen(Honeybee)氏が小学校の生徒達が動かすドリルを驚いたように見ている。彼らは職を失う寸前だ!前にいるMargarita Marinova(NASAのエイムズ)氏が生徒と話している。Credit:Kris Zacny
写真3:これがスカイプを通じて南極からみえた画像:Credit:NASA
写真4:アイスブレーカードリルは斜面に設置されて、氷で固まった地面(火山性堆積物)を1m掘削した。左から右へ、Krid Zacny(Honeybee)、Margarita Marinova(NASAのエイムズ)、Wayne Pollard(McGill大)、Alfoso Davila(NASAのエイムズ)、Gale Paulsen(Honeybee)の各氏。Credit:NASA
写真5:10cm毎にドリルは自動的にサンプルを小瓶に収集する。壜はすぐにいっぱいになる。:Credit:Kris Zacny

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