のぼうの城

Pocket

のぼうの城
edit

のぼうの城
和田 竜
小学館
¥ 1,575 (定価)
在庫切れ (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)
 (私のおすすめ度)
 (Amazonおすすめ度)
単行本
在庫切れ
(価格・在庫状況は3月6日 16:10現在)

iGoogleをホームページに設定しているためにGoogle検索急上昇ワードをよく見ることになるのだが、その急上昇ワードに掲載されていたので読んでみた作品。


歴史物で〇〇の城というと「梟の城」などが思い浮かぶのだが、「のぼうの城」は初めて。なんだろうと検索してみるとなんでも野村萬斎主演で映画化されるというニュースが原因で急上昇の検索ワードとして登場したらしい。
のぼうの城というのはなにかというと「木偶の坊」の「のぼう」の意味らしい。歴史物にしてはなんとも情けないタイトルである。
舞台は戦国時代末期で豊臣秀吉が家康との争いにけりを付け従えた全国の大名総動員で北条氏を打つべくその本拠地である小田原城を取り囲んだ時の事。関東の行田にある忍城で北条氏にあくまでも味方した戦国大名がいた。それがこの本の主人公、成田氏である。歴史物のなかでは極めてマイナーな大名といえよう。
秀吉の本隊は小田原城を囲んでいるので、成田氏討伐に向かったのがその後関ヶ原の戦いで歴史を動かす石田三成、最後まで三成に味方した大谷吉継、途中で裏切った長束正家の3人。最初は北条氏を裏切って秀吉に味方するはずであった成田氏であったが、長束正家のあまりにも高圧的な態度にのぼう様と言われているこの物語の主人公成田長親が徹底抗戦を決めてしまう。成田氏側の各武将の奮戦もあり戦況は膠着。そして三成は秀吉以上のスケールで忍城を水攻めにする。
のぼう様こと成田長親はその領民から極めて親しまれている人物で忍城を水攻めにするための堤防を作らされた農民が結局はその堤防を決壊させ三成方は大損害を被り忍城は北条氏の小田原城が陥落するまで持ちこたえることになる。大きな力を見せつけながら迫ってくる巨大な力に小さいけれど一致団結した普通の幸せを願う集団が一矢報いる痛快な物語に仕上がっている。
その後の歴史を作っていく石田三成、大谷吉継、長束正家はそれぞれのその後の生き方を彷彿とさせる描写がなされているので、その後の歴史を思い描きながら読んでいくと面白い。
本作品が映像化を前提にして作られた文章らしく文章は分かりやすく量も少なめ。簡単に読了できる。
映画化されるこの作品だが、長束正家の降伏勧告に徹底抗戦を決める際の成田長親、三成方の大軍を物ともせず蹴散らす成田勢、水攻めされた忍城に浮かべた小舟の上での田楽踊り、戦いが終わった後の三成と長親の対面など幾つかのクライマックスがあるが、それらを歴史的背景を交えながらスムーズに結び付けられるかが映画化の際のポイントになるのでは。うまく今の歴史ブームの流れに乗ることが出来るだろうか。
歴史小説ではマイナーな成田氏だが、上杉謙信に下馬せず叱責され兵を率いて城に戻ったというエピソードも持っている。成田氏の祖先は源義家にも下馬をせず挨拶をしたという名誉の家門であるため、その例にならって下馬をしなかったと言われているようだが、上杉謙信と秀吉という2つの巨大な力に反旗を翻した成田氏は、果たして無骨な坂東武者だったのかそれとも時代を読めない名門という権威にすがるだけの存在だったのだろうか?
三成の汚点となったといわれている忍城の水攻め失敗だが、三成のアイデアではなく秀吉の強引な命令で水攻めをせざるを得なかったという説もあるらしい。もしそうならこの忍城水攻めの失敗は三成のその後の人生にどのように影響を与えていったのだろうかなどと色々と考えていくのも面白い。

One Comment
  1. これだけ「のぼうの城」を解説しているアナタはすごい。私は何も知らずに映画のエキストラとして参加しましたが、こういうサイトで大筋を知った次第です。お恥ずかしい限り・・・(笑)今から映画が楽しみです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。