アヘン王国潜入記

Pocket

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
edit

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
高野 秀行
集英社
¥ 700 (定価)
¥ 724 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)
 (私のおすすめ度)
 (Amazonおすすめ度)
文庫
在庫あり。
(価格・在庫状況は3月6日 16:09現在)

世界のシワに夢を見ろ!の次に読んでみた高野氏の著作。今回はうって変わって真面目な滞在記でした。


高野氏はビルマのタイとの国境にあるワ州に滞在。半独立地域のワ州はアヘンを栽培し独立闘争資金として使われている地域らしい。高野氏はそこでアヘンの種まきから収穫までを体験することを目的として滞在したとのこと。
アヘン栽培地域と行ってもそこは静かな集落。世界とは隔絶された田舎。「世界のシワに夢を見ろ!」とは違い淡々と日常生活が綴られて行く。アヘンの収穫が始まるに従って、氏もアヘン中毒になりかけながら、収穫終了と共にその生活は終わる。
世界とは隔絶された田舎であったが、物語の後半ではワ州の対抗勢力とビルマ政府との融和やアメリカの政策の変化などが次第にワ州の片田舎にも及び、そこでひっそりと暮らしている人々の生活にも影響を及ぼしてくる。国の中心ではない辺境=世界のシワも世界情勢とは無縁ではいられない。まさに世界情勢のしわ寄せが世界のシワにも押し寄せてくるのだ。
最後には世界のシワをこよなく愛する氏の心の痛みが伝わって来ます。
日本人を見た事も無い地域に単身乗り込んで数ヶ月過ごした日常が、おそらく何の誇張も無く、淡々とつづられており、その意味では逆に臨場感がある文章になってます。アヘン生産地といってもそこに住む人たちはとても素朴な生活をしている人達。氏が暮らしたワ州の歴史的な背景、その他の対抗勢力の情況、ビルマ、中国政府との関係なども詳しく書かれてますので、予備知識が無くてもワ州を取り巻く世界を把握するのは難しくありません。
ビルマ、タイ、中国にはさまれた当時のワ州の情況を記す紀行文としても貴重な書と言えるのでは。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。