千年前の人類を襲った大温暖化 文明を崩壊させた気候変動

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千年前の人類を襲った大温暖化
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千年前の人類を襲った大温暖化
ブライアン・フェイガン
河出書房新社
¥ 2,520 (定価)
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単行本
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地球温暖化が危惧されているこの頃、大温暖化というやたらでかい文字が目についたので手にとって見た一冊。


中世=暗黒時代と習ったのは高校の世界史だったような記憶がある。ペストが発生し飢饉が頻発したらしい。その説明文の脇にはリューゲルの死の勝利が。教科書ではカラーではなかったが鎌を持った骸骨が人々を襲っているその図柄は妙に記憶に残っている。その死の勝利がこの本のカバー表に使われている。おそらくこれが手にとって見たもう1つの理由だろう。
でもこの本の冒頭部分を読むと中世温暖化といわれる時代について中心に書かれているとのこと。中世=暗黒時代というすり込みがされていたので、暗い=寒い→中世はむしろ寒冷化が進んだ時代たったのではというイメージを持っていたがそれは違うようだ。そんな間違いを持ちつつこの本を読み始めた。
第一章では中世の世界的な気候変化の傾向について説明し、第二章以降は世界各地での気候変化について論じている。
ヨーロッパの中世温暖化、モンゴル帝国の世界支配、グリーンランドのイヌイットそしてマヤの人々まで及び、本書を読むだけで世界を駆け巡ることができる。各章とも冒頭部分にその地域の歴史的背景、地形的特長などが地図を用いて説明されているので各地域に関する予備知識は自然と手に入る。そしてその後は物語り調に話が進んでいき、読みすすめるうちに、まるでその地域の住民になり、次第に温暖化していく中で畑を必死に耕しているような感じにさせてくれる。
各章とも分量は多くないので読み進めるのは結構楽。
しかし最終章では恐ろしい予言がなされている。中世に比べて過密な人口、余裕のない脆弱な社会システムに陥っている現代では、気候温暖化によって中世とは比べ物にならない事態が発生するのでではと警告される。温暖化問題は水問題と直結し、既に灌漑や工業によって地下水までも使いきろうとしている現状に気が付くと、背筋が寒くなる思いがする。
本書では、このような話題を取り扱った本にありがちな、二酸化炭素を削減して地球を温暖化から守れ!的な主張はされていない。
先日も「地球温暖化はもう止められない、気象学の世界的権威が新論文」というニュースがWebで話題になっていた。本書も基本的にはこのような立場で書かれている。おそらく二酸化炭素排出制限などをしても温暖化は止められないのだと思う。問題は、温暖化していく地球環境の中で、我々がどのように振舞って生き残っていけるかであろう。
巻末には引用文献多数。過去の気候変動の調査法やエルニーニョ現象などの気候変化に繋がる現象についても本文中で詳しく説明されているので資料的価値としても高いのではと思う。
読み終わってから、高校の歴史の教科書を見直してみたが、リューゲルの死の勝利は掲載されていなかった。記憶とは曖昧なものだと痛感した次第。どこか別の記憶と混ざってしまったようだ。

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